2014年05月02日

どよめきの意味

明治古典会が終わって、いつもの仲間と、いつものように食事をし、いつもより少しばかり早い時間にお開きにして神保町から地下鉄に乗ると、いつもよりずっと少ない乗客数でした。

そういえば食事をした店(家庭料理「たんぽぽ」)も、いつになく空いておりました。明日からの四連休を前に、混雑しているかとも思いましたが、やはり長期休暇を取っている人が多いようです。

RIMG1219古本屋の市場は暦どおり(時には祝日にも)開かれていますし、連休など関係ないという古本屋が殆どです。それでも今日の明古は普段に比べて少なめの出品量。GWの影響がないとは言えません。

店主にとっては、あまり収穫のない市でしたが、気になる出品はありました。吉本隆明の自筆草稿です。

ノートを切り取ったような横罫の紙に、ペン書きで34枚。昨今、知名度では娘の方が勝るかもしれないにせよ、一時期、カリスマ的な影響力を持った批評家です。

どれくらいの評価がつくだろうかと、店主のみならず、同世代の業者の多くは、関心を持って開札を待ちました。

驚くような高値にはなりませんでしたが、最近の草稿類の相場からすれば、まずまず悪くない結果だといえるでしょう。そんなものだろうと、半ば納得できる落札価格でした。

この日は他にも寺山修司の葉書とか、谷川俊太郎の色紙など、人気の高い作家の自筆物が割合数多く出ていましたが、おおむね堅調。

そんな中で、会場が一瞬どよめいたのは、ある現存音楽家原稿7枚という出品の発声がされたときです。落札価格は吉本以上。枚数が5分の1程度なのですから、一枚あたりの価格にすれば、5倍以上の高い値がついたことになります。

もちろん内容、希少性など、様々な要素を勘案して定まるのが相場ですから、単純に比較はできません。

しかし少なくとも、いま業者の眼から見て、それだけの評価がつく人物がいたのだとということに、新鮮な驚きを感じた同業が少なくなかったということでしょう。

konoinfo at 22:27│Comments(0)TrackBack(0)

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