2014年06月06日

『金平糖』

RIMG1328昨日から梅雨に入ったとかで、今日も一日本降りの雨。雨で干上がるというのも妙な言いぐさですが、店の方はまさに干上がったような状態。

それでも市場はmust go on、朝から明古に出勤いたしました。

量は決して少なくなかったのですが、何故かいつもより早い時間に準備が終了。出品物の質も、まずまず。とりわけ最終台には、いくつか面白いものが並び、良い市になりそうな予感。

なんといっても衆目を集めたのは、出品者がそれと気づかずに持ち込んだ、アンディー・ウォーホルのサイン入りシルクスクリーン3枚セット。一枚の大きさはB2判ほどだったでしょうか。

来日記念に日本で製作されたものといいます。人気の高いアーティストの作品ですから、かなり良い値がつくのではと期待され、実際に、今日の最終発声品となりました。

しかし店主は、それよりもずっと小さい、B6判より小ぶりな、薄茶けた藁半紙を綴じただけの小冊子に、関心を持ちました。

ガリ版刷りで本文18ページ、表紙には「金平糖」と太い文字。簡単なイラストも描かれています。

目次には十編前後の詩の題が並び、それぞれに作者名が付されていて、その中に「谷川俊太郎」の名。奥付を見ると1948年の日付。

17歳の谷川が、初めて二編の詩作を発表したとされる小雑誌がこれでした。ちなみにイラストも谷川。

これも、荷主さんはそれと知らず、他の本と一緒に持ち込まれたのです。その中から、この一冊を抜き出したのは、われらが事業部員。身内褒めのようですが、これこそが市場仕事の醍醐味でもあります。

落札されたのは、誰もが順当と思う専門書店。そのご当人に尋ねたところ、彼も初めて目にしたそうです。

「こんなものが出てくるのですね」と興奮気味に、その発行人に関するエピソードも、色々と話してくれました。彼にとっては、決して高い買い物ではなかったはずです。

konoinfo at 19:47│Comments(0)TrackBack(0)

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