2014年06月09日

百科事典の使い道

「百科事典」といえば、古本屋が第一番に敬遠する本であると、最近はかなりご理解が進んでいるようです。

時おり、問い合わせいただく時も、「ダメでしょうね」と、初めから諦めたような口ぶりの方がほとんど。

じつは、ごく最近の版ならまだ値になるのですが、そういうものをご処分されようという方はまずおられません。少なくとも20年、もしかすると40年ほど前の版であることが大抵です。

ですから、その言葉を聞いただけで、まずお断りの文句を考えるのが、普通のケースです。

今日ご来店になったご高齢の男性は、「英語の百科なので、もしかしたら大丈夫かも」と、お考えになり、「捨てるのはいつでも捨てられるから、聞くだけ聞いてみよう」ということでお越しいただいたのでした。

確かに洋書の場合は、その中身ではなく、装丁にまだ商品価値があります。いわゆるディスプレイ用として。

もちろん、大した値になるわけではありませんが、ツブしてしまうのはもったいない。そうご説明すると、「一冊持ってきてみましょうか」とおっしゃいます。

「タイトルが分かればそれには及びません」と申し上げると、携帯にメモされている書名を見せてくださいました。

Funk and Wagnall という文字列が見え、「ああ」と思わず声が出ました。Britanica か Americana を想定しておりましたから。

その二つに比べると、ずっと数は少ない、まあわが国ではレアなものです。しかしレアだからと言って、値がつくわけではありません。実際は逆。

RIMG1319そのわけは、この本の装丁の色にあります。落ち着いた色ですが、赤茶系。ディスプレイでは一番人気のない色なのです。

専門にしている同業に、買い取れるかどうか、確かめた上でお返事しますと答えて、お引き取りいただいたのでした。

konoinfo at 19:30│Comments(0)TrackBack(0)

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