2014年06月11日

経済学者の予見

『読書のすすめ』(岩波文庫編集部編)というPR小冊子をご存知でしょうか。

イメージ (155)今、手元にあるのは、1998年刊の第5集。そのあとがきによれば、1991年に第1集が出たといいます。もっと古くからあったような気がしておりましたが、よく似た別のシリーズと記憶が混同したのでしょう。

同じくあとがきに、第4集までを『岩波文庫別冊』として出版したとありますので、店の棚を調べてみました。

すると、『読書のすすめ』(岩波文庫別冊11 1997年)ばかりか、『読書のたのしみ』(岩波文庫別冊15 2002年)まで並んでいます。こちらの方に第5集から第7集までが収録されていました。

それはともかく、この90頁余の無料PR冊子のなかに、経済学者森嶋通夫の一文があり、その一節をご紹介したいと思ったのが、以上の、なくもがなの前ふりの理由です。

森嶋は、この1998年という時点で、出版業界の活動状況を、出版物の量で計るなら、現状は「青息、吐息」どころか、「笑い」が止まらぬ全盛時代だというべきだろうと、分析しています。

その上で出版業界の将来について、彼とミルトン・フリードマンは同じような予想をしているが、「細部では、二人の予想は違う」として以下のように述べます。

私の場合は需要の限度を越えた、供給過剰が、供給者を壊滅させるのだが、彼の場合は技術革新の結果、やがては人間は印刷した紙を知識伝達の媒体としなくなるというのが理由である。

フリードマンの炯眼には、改めて感服するしかありませんが、森嶋がここで唱えた供給過剰の危機は、現在、古書業界を襲っていると見ることもできそうです。

手元の小冊子の裏表紙には、今はない「東京旭屋書店渋谷店」のゴム印が押してありました。新刊書店業界は、すでに洪水の後ということでしょうか。

konoinfo at 19:30│Comments(0)TrackBack(0)

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