2014年06月18日

渡邊一夫旧蔵本

RIMG1371店の裏の棚を整理していたら、ひょっこり出てきた本があります。

函がかなり擦り切れていたんでおりますが、なかなか趣のある造り。なぜ、しまわれたままだったのだろうかと、本を開いて見たところ、見開きの左上隅に、インクの色も古びたペン書きの記名が見つかりました。

書かれてある文字はKadzouo Wathanabe。言わずと知れた、渡邊一夫さんのサインです。

渡邊さんの記名本は、決して珍しくありません。ご自身が入手された本に、まめに名を入れる習慣があったからであることは勿論ですが、その大量の蔵書を、実に気前よくお弟子さんたちに分け与えられたらしいからです。

以前、小店が宅買いに伺った中世文学の先生も、やはりお弟子さんに当たる方で、その蔵書の一部が渡邊さんの旧蔵書でした。

状態の良いものは少なかったのですが、専門書店が喜んで買ってくれました。(その割にシビアな札でしたが)

今日見付けたのは、その時に仕入れたものではありません。もっとずっと前のものであることは確かです。しかし、何時、どこで、という点については記憶から消えております。

それにしても、なぜしまっておいたのか。頁を繰って行くと、所々に鉛筆による線引きや書入れがあります。その古びかたと、字体から、ほぼ渡邊さんの手によると思われます。

その値打ちを測り兼ねて、有体に言えば売り惜しんで、しまいこんでいたのでしょうか。

とつおいつ思いめぐらせているうち、標題紙の裏に、大きな朱印が押されているのに気がつきました。「昭和43科研補助」「××大学図書館」という二つの角印です。

塩漬けされてきたのは、このためのようです。昨今のように、研究費購入図書の処分が大っぴらでなかった時分、印あり本を売るのは、とても気を使うことでしたから。

konoinfo at 19:30│Comments(0)TrackBack(0)

トラックバックURL

コメントする

このブログにコメントするにはログインが必要です。

平日午前10時〜午後7時、土日祝日は午前10時から午後6時まで、毎日営業いたしております
Profile

河野書店

Archives