2014年06月21日

語るに落ちる

「お前が産めよ」で一躍、脚光を浴びることになった東京都議会。

新聞、TVの報道を見聞きしながら、以前、小欄でも取り上げたことのある、映画『台風騒動記』(杉浦明平原作・山本薩夫監督・1956年・松竹)に出てくる町議会を思い出しました。

同じような場面があるわけではありませんが、そこにこのエピソードを挿入しても、まさにピッタリとはまりそうだと思ったのです。

映画を観たときは、あまりにも戯画化が過ぎると思わなくもありませんでしたが、現実の議会の方が、はるかにウワ手でした。

少なくとも、あの町議会の議員さんたちと、都議会某最大会派の男性議員の多くは、その女性観を語らせたら、ほとんど意気投合することでしょう。

とりわけその感を強くしたのは、発言への対応ぶりを知らされて。

発言当事者を抱える(と誰もが思っている)会派の長は、その発言者の特定は難しく、そうである以上、軽々に誰彼を疑うのではなく、お互いに今後は、発言に気を付けよう、というような趣旨を語っていました。

russian posterどうみても、発言自体を一般的な失言のレベルに相対化しようとしているとしか思えません。あるいは、会派長自身、その自覚すらないのか。

何より笑えるのは、特定が難しいなどと、何の臆面もなく述べている点です。誰が言ったか分からない、すなわち、誰だって言いそう――、そう白状しているのに等しいのに。

語るに落ちるとは、まさにこのこと。ますます、あの町議会と二重写しになってきました。

関西弁に「いちびり」という言葉があります。発言者は、せいぜいそんな手合いでしょう。しかし、それを隠すことで、より深刻な倫理欠如が露呈してしまったようです。

konoinfo at 18:30│Comments(0)TrackBack(0)

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