2014年10月21日

人生デザイン U−29「古本屋」

Eテレで昨夜、再放送を見ました。初回放送の時、チャンネルを変えていて偶然眼にし、途中から見たのですが、今回改めて初めから終わりまで。

内容については、「NHKネットクラブ 番組ウォッチ」に端的にまとめられていますので、そのままご紹介します。

東京郊外の古本屋で働く前原航平さん・28歳。競争の厳しい就職活動を嫌い、大学卒業後もフリーターをしていたが、古本屋に憧れ、ハローワークで今の店に出会った。古本屋の“何でもあり”の空気に居心地の良さを感じた前原さんは、ネット販売やカフェでの販売など店のアップデートに取り組んできた。20〜30代が古書業界に参入し、新感覚の古本屋の開店が相次ぐなか、前原さんも独立の道を拓くため新たな古書ビジネスに挑む。

若者応援番組という性格上、当業界も好意的に取り上げられていて、文句をつける筋合いはないのですが、いくつか気になる点がありました。

ひとつは「いくらで買った」「いくらで売った」は、とりわけ市場における売り買いは、従来、こうした番組などでは伏せられるのが習わしだったことです。

それは営業秘密を守るということ以上に、一面的に捉えられて誤解を生みやすいと懸念されてきたからです。俗に「数字が独り歩きする」ことを恐れるわけです。

しかし今回については、そうした数字が番組にリアリティーを与えていた点は認めざるをえません。店主自身、不自然に情報を隠すよりは、ある程度(関係者の了承を得たうえで)ありのままを見ていただく方が良いと考えます。

ただし、そうした場合には、業界としても、より正しい姿が伝わるように、取材側に働きかけることが大切です。もっとも、こちらが働きかけても、そのように対応していただけるかどうかは、相手方の判断に委ねられていますが。

例えば今回のことでいえば、若者が身の丈で始めて、そこで自足できるような業界としてだけでなく、奥行きの深い、社会的にも大きな意義を持つ業界であることを、さりげなくアピールできていたら満点だったのにと残念です。

RIMG1640折から、今朝の日経新聞に、このブログでも以前ご紹介した「ヘーゲル、自著に書評転記 東京の古書店で発見」という記事が出ました。

25分の番組に、ほんの数分でも、こうした視点を入れられなかったものでしょうか。

konoinfo at 19:30│Comments(0)TrackBack(0)

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