2014年11月30日

逗子へ

RIMG1751日曜日の湘南新宿ラインに揺られて、逗子まで宅買いに行って参りました。

最初にお話しを伺ったのは、20年近く前のことになります。小店の古くからのお客様Sさんが、恩師にあたるT先生のご蔵書を整理されたいと、奥様がおっしゃっておられるので、その折には、相談にのっていただけますか、と。

以来、何度か「その折」というのがありました。いよいよ処分される決意をされたようなので、ついてはできるだけ良い条件で処分できる方法を、奥様にご説明願いたいと請われ、初めて逗子のお宅に伺ったのは、12年ほど前のことだと記憶しています。

その時は、まずお弟子さんであるSさんが中心となって、蔵書リストを作成してから、という話でしたので、その完了を待って、まとめて市場に出しましょうと、提案しておきました。

3年ほどたち、その目処がついたので、市場に出すための日程を打ち合わせたいとの連絡を受けました。

しかし、それからが、さらなる紆余曲折の年月となったのです。

何度か日が決まりかけ、そのつど、奥様から延期の要請が出されました。今度こそと、運送屋さんまで手配したのは、4年前のことです。その時も、間近になって、キャンセルの報が入りました。いざとなると、決心が鈍られるようでした。

そんなことがあって以来の、今回です。「奥様もご高齢になられたし、今度こそ、ご処分されるおつもりです」という言葉を伺っていても、実際にその場に赴くまでは、安心できませんでした。

いよいよ作業を始めて、運送屋さんのトラックに次々と本を積み込みながら、ようやくこれで決着がついたという安堵とともに、哀しい気持ちも湧いてきました。

埃が積もり、一部にカビも生じているのは経年のやむを得ぬ変化だとはいえ、それ以上に大きな変化は運んでいる本の、相場の下落です。

T先生は中世国文学の専門家。すでに下落が始まっていたとはいえ、20年前なら、数倍には評価できたものばかり。「少しでもよい条件」というのは、「少しでも早く」ということでしたのに。

帰りの車中、強い疲労感に襲われました。

konoinfo at 19:54│Comments(0)TrackBack(0)

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