2014年12月28日

古本業、出版業

今朝の朝日新聞は、今年最後の読書欄ということで、一年総まとめの記事が載せられていました。

その一つは「今年売れた本」。日販による2013.12から2014.11の総合部門売上ランキングをもとにしたという表が、まず目に入ってきます。

見事に知らない本のオンパレード。一度や二度は、新聞広告などで目にしているはずですが、関心がないせいか、殆ど聞いたことのないタイトルばかり。しばらくすれば、いやというほど目にすることになるのでしょう。

それにしても、この表を眺めていると、気分が萎えてきます。世間で「本が好き」「やっぱり本でなければ」とおっしゃっている方々にとっての「本」というのは、こういうものなのだろうかと。

その頁をめくると、同紙書評委員による「今年の3点」が見開きで掲載されていました。総勢21名の挙げる合計63冊の本。さすがにこちらは、店主(つまり頭の固い古本屋)でも、たしかに「本」だと思えるものが並んでいます。

ざっと見た限り、重複してあげられているものは一つもありません。むろん、意識して避けようとされたわけではない筈。それぞれの興味が、それほど多岐に広がっているということ、本の世界もまた、それを受け止めるに足るだけ、広いということでしょう。

RIMG1813一方で、この63冊の販売部数を合計しても、ランキング上位の一冊に及ばないだろうと考えると、出版は業(ぎょう)ではなく業(ごう)なのかとも思います。

ごく手短にまとめられた、各氏の3点を読むと、「読んでもいいな」から、「こういう本を読まなくては」まで、それぞれに心を動かされます。同時に、しかしながら結局は、そのうちの良くて一、二冊を、手に取る機会があるくらいだろうとも思います。

読むべき本はあまりにも多い。それ以上に、読まなくてもいい本が世に溢れいている。せめてわが店では、読むべき本に囲まれていたいというのが、今に至っても、ささやかな夢ですから、古本屋もやはり業(ごう)のようです。

年内は31日まで、ただし明日以降も、毎日午後6時閉店です。
営業時間にご注意ください。


konoinfo at 18:30│Comments(0)TrackBack(0)

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