2015年06月17日

文科系見直し

国立大学の数は現在86校である、ということが頭に入ってしまいました。

このところ文科省が、矢継ぎ早にお達しを出して、あれこれ指図をしているらしいことが、新聞やTVニュースなどから毎日のように伝わってくるからです。

その理屈というのが、国立大学は国の金を使っているのだから、国の考えに従ってもらわなければ困る、ということらしい。

その「国の考え」というのは、一体誰の考えなのでしょう。お役人でしょうか、時の政府でしょうか。国の金というのは言うまでもなく国民の税金ですから、それは国民の考えでなければならないはずです。

まことに微々たる税金しか納めていない身ではありますが、Tax Payer の一人として言わせてもらうなら、少なくとも店主は大学の入学式に、国歌や国旗をオススメしようとは思いません。

国歌や国旗を認めないというのではありません、それを小中高校などで、なし崩しに強制化してきた「国の考え」というのは、店主の考えとは異なる、ということを申し上げたいのです。

文科系見直し、という言葉も不気味です。こちらは、国の金を使って教育するのだから、社会の役に立つ人材育成をしなければならないということのようです。

「役にも立たない文学なんかやるなら、学費は出さん」という、お父さんのセリフそのままです。今日も、本を売りに来ていただいて、職業欄に「無職」と記された女性が、「文系は肩身狭いですよ」と、つぶやいて行かれました。

昨日の洋書会に出た一口は、高齢の英文学者のご蔵書でした。ゴドウィンやウルストンクラフト、バイロンやキーツ、モリスやラスキン。かくも多数の書物が出版されてきたのは、決して「役立つ」からではなかったでしょう。

RIMG0259見直しなどと言わずとも、厳しい競争にさらされる私学から、「文学部」という名が次々消えて行っている昨今です。せめて国立くらいは、人材よりも、人格を育てる姿勢を持ってもらいたいと思うのです。

konoinfo at 19:50│Comments(0)TrackBack(0)

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