2016年02月18日

『京都ぎらい』

今でも時折、新刊広告などで見かけることもあって、ちょっと読んでみたい気もしていた本が、手に入りました。

「やあ河野さん、ひさしぶり」と、大きな声で店に来られた、今年は88歳になられるはずのKさん。紙袋を二つ提げて、「また新しい本を読んでます」とお持ちいただいた中に、その一冊があったのです。

井上章一さんの『京都ぎらい』(朝日新書)。2015年9月30日に第1刷が出て、手元の本は11月20日の第5刷。さらに重刷がかけられた筈で、相変わらず人気の書き手であることが分かります。

古本屋の特権で、店に出す前に、さっそくちょいと、読ませていただくことにしました。

KIMG0329要するに京都洛外の嵯峨で生まれ育った筆者が、ふとした折に受けた洛中人からの軽侮を、生涯のキズとして抱き続け、そのキズ口を見つめることだけで一冊書き上げてしまったというような本です。

その洛中人を代表するのが、二人の著名な学者である辺りが、実に面白く、泉下の両先生も、ただ苦笑するしかないだろうと思いました。

傍から見れば滑稽にも見えるルサンチマンが武器となっている点では、東海林さだお氏の書くものにも通ずるところがあるかもしれません。

そもそも、京都人の「いけず」を聞くのは、落語に限らず面白い。というわけで、あっという間に半ば近く読んでしまったのですが、さすがに一冊丸々「いけず」話を通すのは難しいらしく、途中からまっとう(?)な「京都論」が展開されていきます。

ちょっと急いで読み過ぎたかもしれません。しかし最後まで読んで、意見の合うところを見つけました。ここに書き出したいところですが、それもネタバレの一種でしょうから、自制しておきます。

また時間があれば、ゆっくりと、特に後半部分を読み返してみようと思います。

konoinfo at 19:30│Comments(0)TrackBack(0)

トラックバックURL

コメントする

このブログにコメントするにはログインが必要です。

12月31日から1月3日まで
休業いたします
Profile

河野書店

Archives