2016年04月28日

Y先生の快哉

Y先生がちょくちょく小店にお寄りくださったのは、開業して5年から10年という時分だったと思います。

自分の専門を、何とか定めようと足掻いていたころで、演劇を中心とした芸術関係の洋書を、せっせと集めておりました。今思えば夢のようですが、外国へ出かけたり、外国の書店から仕入れたりもしていたのです。

ですから、演劇学者であるY先生の知遇を得られたのは、とても勇気づけられることでした。

余談ですが、当時小店を何かと応援してくださった先生方には、Yのイニシャルが多いことに気づきました。由良君美先生しかり、横山正先生しかり。山口昌男先生とは僅かなご縁でしたが。

そんな頃、演劇関係洋書の一口が市場に出たことがあり、その時手に入れた何冊かの珍しい本の中にGordon Craig の限定本がありました。

RIMG0968それを伊勢丹大古本市の目録に掲載したところ、ご注文くださったのがY先生でした。「もっと高くてもいい本です」とおっしゃりながら、初日に会場で引き取っていかれたことを覚えております。

昨日お持ちいただいた3冊の中には、その本は含まれていません。そのことをご子息に申し上げると、もう一度よく調べてみますと言い残して、お帰りになりました。

小店がお納めしたままの状態であれば、まだそれなりの値はつくはずです。ただ当時のようには、いかないでしょうが。

あの頃、Y先生は洋書の値段の高さについて、よく愚痴をこぼされていました。特に輸入書籍のレートが不条理であると、怒りを漏らされたこともありました。

昨日、ご子息から伺ったところでは、晩年Amazonで本が買えるようになった時、「ざまあみやがれ」と過激な表現で喜ばれたとのことです。さもありなんと思います。

先生は21世紀を見ずに亡くなられました。現在の状況をご覧になっても、なお喜ばれたでしょうか、あるいは、さすがに行き過ぎだと、嘆かれたでしょうか。

konoinfo at 19:30│Comments(0)TrackBack(0)

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