2016年10月20日

圧倒的多数の光景

午後6時過ぎの井の頭線渋谷駅。各駅停車吉祥寺行の先頭車両は、車内が見渡せる程度の混みようでした。

その一番先頭、運転室の壁にもたれ、何気なく全体を眺め渡すと、一種異様な感が襲ってきました。座っている人、立っている人、そのほとんど全員がスマホの画面に見入ったり、操作したりされているのです。

確かにそのように見えました。しかし冷静になって、もう一度、今度は実際の数を数えてみることにいたしました。

もちろん陰になって見えないところもありますから、正確には数えようもありません。それでもざっと、車内におられるのが70名ほどと目算すると、少なくとも6割、もしかすると7割。

余談ながら、原発再稼働に7割が反対、という7割とは、これほどの割合なのだということが分かります。

ちなみに、本を読まれていたのは、吊革につかまって文庫本を立ち読みされていた若い男性と、座るなりマンガ雑誌を取り出した中年男性――そのお2人しか目に入りませんでした。

もはや車中読書も、ほとんど絶滅に差し掛かっているということでしょうか。

事情があって、TKIの月例会議を30分ばかり早退し、その帰り道で目にした光景です。

今日の会議のもっとも重要なテーマは、最近低迷傾向にある売り上げを、いかに回復させるかということ。議題の中心となったのは、提供が急がれるスマホ対応の検索画面についてでした。

今やネット通販の6割はスマホだと、我らがコンサルタント氏は繰り返されます。言われるまでもなく、その対応が必要かつ、重要であることは事業部員誰しもが認めるところです。

しかし、本当に問題にすべきはスマホ人口の増加ではなく、読書人口の激減の方かもしれません。そんな気にさせられた車中風景でした。

RIMG1484会議の席で「店売りの落ち込みの方がもっとひどい」と、某人気店主が洩らしていたという話を聞き、小店だけではないという僅かな慰め以上に、事態の深刻さを感じた一日でもありました。

konoinfo at 19:30│Comments(0)TrackBack(0)

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