2016年10月23日

三種類の読書

RIMG1458漠然と考えていることを、きちんと整理してくれるような文章を読むと、自分の頭もすっきりして、そこからまた先に考えを進められるという功徳があります。長くなりますが、以下はその引用。

読書にはおよそ次の三つの種類があるように思う。
第一は教養のための読書。これは当面何に役立てようというような実利的目的もなく、ただ人間としての教養を身につけ情操を高めるための読書である。
第二は娯楽としての読書。おもしろく読めて一定の時間を退屈せずに過ごせれば、それでよい。
第三は病気の手当てとか税金対策とか、現実生活に必要な知識を得るための実用的読書で、私の場合は広い意味でこの実用的読書の範疇に入る。

尾形仂「鴎外との出会い」(『読書のすすめ第5集』岩波書店編集部編1998年刊所収)

近世文学者であるご自身を、実用読書の徒であると韜晦しておられるのですが、なるほどそう考えて小店の棚を見渡すと、半ば以上は尾形さんの言われる実用書であることになります。

実用書の場合、税金対策はともかく、病気の手当てということになると、役立つ範囲はごく限られます。頭が痛い人に、やけどの治療法をオススメするわけにはまいりません。

それに比べて、第一、第二の読書対象となるような本の場合、仮にドストエフスキーがなければ、トルストイをお勧めしてみることも、まるで無益ではないでしょう。

ただし教養・娯楽書は、古本となると単価が低いものが一般です。よほど数をこなさないことには、商売になりません。

だからこそ多少とも単価の高い専門書(実用書)を置くことになるのですが、それは極めて限られた需要のものですから、一旦値崩れが起きると際限なく安くなり、そのうち肝心の実用にも役立たなくなるわけです。

とまれ、この三分類を拳拳服膺し、せっせと棚の入れ替えに励もうと思います。

konoinfo at 18:30│Comments(0)TrackBack(0)

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