2017年03月05日

蔵書を活かす

またしても寄贈本問題が、世間を賑わせているようです。もっとも世間と言っても、本に関心がある人たちの間だけのことですから、知れたもの。よほど耳を澄まさないと、聞こえてこないかもしれません。

山陽新聞の3月5日更新という電子版記事「高梁市教委への寄贈本10年放置 1.6万冊、遺族要請を受け返還」

ご興味のある方は、リンク先をご覧ください。これをめぐって、家人が見ているツイッターのタイムラインには、いくつもの意見が飛び交ったといいます。

RIMG17521万6千冊の蔵書というのは、確かに相当な数ではありますが、古書業者から見ると、腰を抜かすような量ではありません。というより、数では驚かないのが古本屋です。

実際それくらいの量の個人蔵書は、店主の知る限りでも過去に何度か古書会館に持ち込まれています。そのいずれも「心血を注ぎ集めた本ばかり」(遺族談)のはずです。

古書の市場(交換会)では、そうした量の蔵書でも、長くとも数日(大抵は1、2日)のうちに仕分けされ、入札にかけられ、それぞれの本が最も高い評価を付けた業者のもとに移って行きます。

そこで、対価を払ってでもそれを手に入れたいという読者を待つわけです。これ以上に蔵書を活かす方法があるだろうかと、店主などは思うのです。

ご遺族の善意は疑うべくもありませんが、寄贈を受ける側からすれば、整理、維持管理の費用にも頭を悩ませます。そのあげくの放置、廃棄。一概に受入側を責める気にはなれません。

心血注いだ蔵書を活かす、良い方法があるということを、もっと広く知ってもらえるよう、業界あげて訴えて行かなければならないと思います。

ちなみに高梁市の新図書館は、あのTSUTAYA経営とか。

konoinfo at 18:30│Comments(0)TrackBack(0)

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