2017年03月14日

古本で資金

KIMG0161まだ、というべきか、いつの間にかというべきか『日本文壇史』の第5巻を読み終えようとしています。

おもに神田への行き帰りの車中読書ですから、はかが行かないのもやむを得ません。それでもゆっくり読むことで、明治の初期から中期、そして後期へと移る、時間の流れに寄り添えるような気もします。

今日もその短い読書の中で、こんな一文を見つけました。

成沢はその頃、生活に困り打開の道を求めて上京し、新宿角筈の内村の家を訪ねた。内村は、あせって上に浮かび出ようとするよりも、一度底まで落ちて見よ、と言った。成沢はそれに力を得て上田に帰り、自分の手もとにある十冊の古本を友人に売り、それを資本にして百合舎という書店を開いた。それは明治三十年で、彼は数え年二十一歳であった。(伊藤整『日本文壇史』第5巻:p.242)

内村は内村鑑三、当時30歳くらいでしょうが、文章や講演で若者に強い影響力を持っていたようです。成沢は成沢玲川(金兵衛)。この青年については「信州文壇」の発行者として紹介されていますが、初めて目にする名でした。

抜き書きした理由はすでにお判りでしょう。「十冊の古本を友人に売り、それを資本にして書店を開いた」という部分に驚愕したからです。

丹緑本やインキュナブラならともかく、10冊で書店を開く資本になるというのは、今からは想像もつかないこと。どんな本をいくらで売ったのか、ぜひ知りたいところです。

今日の洋書会、出品量は少なめでしたが、さいわい150冊ばかりの言語学関係の口を落札することが出来ました。あり得ないことながら、仮に全部が売れても、ひと月分の家賃にもならないと思います。

konoinfo at 19:30│Comments(0)TrackBack(0)

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