2017年05月10日

些末なこと

我ながら、どうしてこんな些末なところばかりに目が行くのか、情けないような気がします。

『日本文壇史』をカタツムリのごとく読み進めてきて、第7巻も終盤に近づきました。すでに20世紀に入り、時代は日露戦争前夜、次第にキナ臭くなっていくところ。

夏目金之助が日本に帰り、イギリスにいる抱月と嘲風、晩翠の三人の間に、こういう心理劇のような事件の起こっていた明治三十六年の一月に、数え年二十九歳の、野口米次郎という日本では全く無名の一青年が、突然ロンドンに現れた天才的詩人としてイギリスの文学者たちの間で評判になっていた。

と、ここから数頁にわたって野口についての叙述が続くのですが、そのなかに「野口米次郎は愛知県海部郡津島町の生まれで…」とあり、その「海部」に「かいふ」とルビがふられているのです。

これは「あま」でなければならないはず。しかし自信がなくなって、ついネットで調べてしまいました。

実際は調べるまでもなく、「あまぐん」とキーボードを打つと、そのまま「海部郡」と変換されます。ついでに「かいふぐん」が徳島県に存在することも知りました。

RIMG1917このルビが、誰によってつけられたのか、また現在の版がどうなっているのかは存じません。店主が読んでいるのは1995年刊の文庫版第一刷。まさに「校正おそるべし」です。

ちなみに店主がこの地名に初めて接したのは小学校3年生の時。臨時担任として来られた先生の、自己紹介を通じてでした。他はほとんど忘れてしまったのに、海部郡大治村という、そのご住所だけはずっと覚えております。

年配の、体格の良い女の先生で、給食時間に居眠りをされていたことも。

些末に目が向くのは、子供の時からの性分のようです。

konoinfo at 19:30│Comments(0)TrackBack(0)

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