2017年06月28日

刷り込み (imprinting)

imprinting店主が古本屋修業を始めたころ、ここに写っているような本は高い値で売り買いされておりました。

それぞれ第一巻の奥付を見ると『同時代史』は1979年の第3刷。『西園寺公と政局』は1982年第5刷。ちょうど五十嵐さんで店員をさせてもらっていた時期です。

どちらも重刷される前までは、市場でも前者が3万円、後者が6万円以上していたような記憶があります。前者の定価合計は1万5千円。後者は3万5千4百円。

ですからこの当時、復刊情報をいかに早くつかむかということは、商売の重要なポイントでもありました。

品切れ絶版で高い専門書が市場に出て、奮発して札を入れたら何故か下札で落ちてきた。喜んでいると、しばらくして重版の広告が出た――などという経験は、学術系を扱っている本屋なら誰にもあるはずです。

それでもこの二点に関しては、その後また品切れで値上がりしたはずです。どちらも近代史の基本文献。そんな思いがありますから、現在いかに値崩れしているかは承知しつつ、置いてくることはできませんでした。

本日は、かねてご依頼を受けていた宅買い。個人全集などを多く揃えられた故人の蔵書で、保存状態は良いのですがほとんどが旧版。

シビアに評価して、何とか売れそうなものだけお引き取りしてきたつもりでしたが、店に戻ってネットで調べると、まだ認識が甘いことを思い知らされました。

なかなか刷り込みからは自由になれないようです。

konoinfo at 19:30│Comments(0)TrackBack(0)

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