2017年07月23日

蔵の本 その1

「古い本でも買っていただけるんですか、明治とか大正とかでも。土蔵を壊さなきゃならなくて、そこに本が沢山あるのですが」

KIMG0063昨日のお昼前に電話をいただきました。病院で透析を受けているところだが、電話では詳しい説明もできないから、済んだら昼過ぎにでも伺ってお話ししたい、とおっしゃいます。

「どうぞ、お待ちしてます」と電話を切って、ご来店をお待ちしました。

やがて現れたのは店主とさして年の違わなさそうな男性。にこやかな笑顔で「円山町に住んでいたので、何度かこの前を通ることがあって知ってました」と話を始めます。

「実はちょっと急いでいて、本当なら今日明日、遅くとも明後日の朝には片付けなければならない」とのこと。量をお尋ねすると壁面の棚を指して「これより多いかな、長持ちが3つだから」。

「それはまた急ですね。どちらですか」とお尋ねすると「鎌倉です」と大型の角封筒を差し出され、中から一通の封書を出されました。表書きには毛筆で、確かに鎌倉の住所と宛名(女性名)が書かれています。

なかなかしっかりした文字だと思いつつ裏返して見ると、そこに書かれていた差出し人の名は「棟方志功」。一瞬ドキリといたしましたが、その大型封筒には別に二枚、色紙のようなものが入っていて、そこにも棟方の名。それらを見ているうちに、落ち着きを取り戻しました。

それとともに「鎌倉の蔵書」についても、おおよその見当がついてきました。なおも男性は話を続けます。

konoinfo at 18:30│Comments(0)

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