2017年08月04日

札改めの役得

RIMG2130明治古典会。点数こそ少なめ(およそ800点)でしたが、なかなか興味深い一口ものが何種類かあり、明古らしい市会となりました。

たとえば「映画関係者旧蔵 ポスター・資料の一口」とか、大陸関係を含む戦前資料の口とか、60年代の左翼雑誌の口とか。

店主は「札改め」という作業を手伝っています。経営員が開札をすませた封筒が、改め台まで運ばれてくるのですが、封筒の表には落札者と落札金額が記され、中には落札者以外の入札用紙が戻されています。

その封筒から札を抜き出し、落札結果に間違いがないかを点検するのが「札改め」の仕事です。

地味ながら大切な部署ですが、入札者の戦いの跡が窺い知れるという点には、一種の役得のようなものを感じないでもありません。

とくに今日のような一口ものでは、専門書店同士のシビアな戦いが繰り広げられます。とりわけ左翼雑誌の口は、二人の業者の一騎打ちとなりました。

そのほとんどを一方の業者が僅差で勝ち取る結果となったため、敗れた二番札の人には、思わず同情の念を抱きましたが、考えてみれば買い別れるより、お互いにとって良かっただろうと思います。

「画家・役者関係 書簡・葉書の一口」とされていた中に、食満南北宛の書簡類が、数多く見られました。この人物についてどころか、名を読める業者さえ、専門店以外には殆んどいなかったはずです。

しかし今日一日で、この関西劇壇の大物「けまなんぼく」の名は、明古会員たちにとっては、すっかり馴染みのものとなったのでした。

konoinfo at 22:15│Comments(0)

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