2017年10月19日

新刊割引

「新刊割引」というのは今では死語でしょうか。その昔、古書店では麗々しくその文字が印刷された帯を巻いて、割引価格が書き込まれていたりしました。

割引額は大抵1割。新刊の卸価格は8割前後ですから、千円の本を売って百円の儲け。定価が高い専門書の場合、掛け率はさらに高いことが普通で、1万円の本を9千円で売っても7百円しか儲からないというような具合でした。

RIMG2356市場で安く仕入れることができたのではないかと思われるかもしれませんが、新刊割引として売れそうな状態の本なら、ほとんど卸価格と変わらない値になっていたようです。

振り市全盛の時代、ある名物古書店主は、その手の本が出ると一瞬で卸価格を計算し、間髪を入れずそれよりわずかだけ安いハナ(初)声を出したそうです。

そんな薄利で商売が成り立つほど本が売れていた、今から思えば夢のような時代の話です。

さて現在、小店では、新刊同然という本が手に入り、それがAmazonなどで新刊価格と同等あるいはそれ以上でしか売られていなければ、2割引きの値を付けて「日本の古本屋」に出しています。

正確に言うと、送料を加えて2割引き。1割引きなら、大学生協でいつでも買えるだろうからです。

そうして出品した本を、まるで待ち受けていたかのように注文される方がいます。どうやって網を張っておられるのか、実に反応が早い。

そんな本がいつも入荷できるわけはなく、売れてしまうともう少しつけておけば良かったかと悔やむのですが、多少高くしたところで増える儲けは知れています。それで売れ残るよりは、薄利でも売れる方がまし。

しかし、これが多売につながらないところが、大いなる悩みなのです。

konoinfo at 20:36│Comments(0)

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