2017年11月16日

本屋の終わり方・その2

スキャン_20171116半年ほど前に、このブログでもご紹介した龍生書林さん。その廃業のお知らせが今日届きました。「古書目録りゅうせい(最終号)」という形で。

本屋が店を閉めるには、様々な事情があるのでしょうが、行き詰ったというわけでもないのに商売をやめてしまうケースは、決して多くはありません。

まして龍生さんのように、その分野では知られた書店が、すっぱり足を洗うというのは、ほとんど聞いたことがありません。よほどのご覚悟があったのでしょう。

今回送られてきた立派な内容の目録を拝見して、ますます不思議が募る一方、これなればこそという思いにもなりました。

店を閉めるに際して、一番の問題は在庫の処分です。さいわいにして組合には、交換会という仕組みがありますから、いざとなれば、どんなに大量の在庫でも売り捌くことができます。

しかし龍生さんは、市場に頼ることを潔しとしませんでした。最後まで、自分自身の手で、売りつくしたいというお考えがあったのでしょう。

今回の目録品につけられた価格を見ると、市場に出した方が高くなったかもしれないものが何点も見受けられます。

それでも、ご自身のコレクションを、業者だけでなく、お客様にこそご覧いただきたいという気持ちが、強かったのかもしれません。

そんな誇るべき蔵書があればこそ、自らの手で商売の幕を引くこともできたわけです。

konoinfo at 19:30│Comments(0)

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