2018年02月17日

ホーバイ

昨日の講習会に出かけるとき、例によって手近にあった文庫本を一冊、携えていきました。洲之内徹『気まぐれ美術館』(新潮文庫)です。

以前読んだはずなのに、パラパラと目を通しても何も覚えておらず、初めてのように読めそうでしたから。

店から目黒税務署までは短い乗り換えばかりで、ほとんど読む暇はなく、会場についても講習中に読めるような雰囲気でなかったのは、昨日お伝えした通り。結局お昼の休憩が、読書の時間でした。

KIMG0424しかも持参のコロッケバーガーを食べるのに、コンビニでコーヒーを買ってきて、食べ終えてからおもむろに本を開いて、ということで正味30分ほど。

で、読み始めてしばらくすると、さすがにだんだんと思いだしてきました。

女は、自分たちには月に一回公休日があって、その日には青森へ行って、活動写真を見て、帰りにランチを食べるのが自分たちのただひとつの楽しみなんだと言い、あのときも朋輩とふたりで、映画館の帰りだったのだと言った。

このあたりになると、前に読んだことをはっきり記憶しています。しかしその時には読み過ごした「朋輩」――この文字には「ほうばい」とルビが振ってあるのですが、その音が、昨日は頭の中で響きました。

はるか昔、中学生のころ、毎年夏に友と2人、泊りがけで島に出かけたのですが、その宿の同じ年頃の少年が、私たちに呼びかけることばが、このホーバイでした。

説明を受けて、初めてそれが「友よ」という意味だと分かったのでしたが、何とも言えぬ親しみのある響きだったことを思い出します。

まだ若衆宿の風習が残っているような島でした。

konoinfo at 18:30│Comments(0)

コメントする

このブログにコメントするにはログインが必要です。

12月31日から1月3日まで
休業いたします
Profile

河野書店

Archives