2018年04月23日
不思議な初版本
タイトルに惹かれて読み始めたものの、はやばやと躓いてしまいました。マーク・プライヤー『古書店主』(ハヤカワ文庫 2013年)という本。
話が始まって間もなく、セーヌ河岸の古本露店商から、主人公がアガサ・クリスティー作『雲をつかむ死』の初版本を見せてもらうところの描写です。
濃い栗色のモロッコ革装丁で、背には糸かがりによる隆起があって金文字でタイトルが記されており、見返しにはマーブル紙が使われている。ヒューゴー(主人公)の見たところ、背はオリジナルの布装丁のようだ。
一体、どんな装丁の本なのでしょう。文字通りに受け取れば、背だけが布装の革装本ということになります。しかし、糸かがりによる隆起というのは、おそらく背バンド(あるいは背ベルト)のことでしょうが、布背にそうしたものがあるのを、店主は見たことがありません。
いずれにせよオリジナルはクロース装でジャケット付き。ジャケットについて言及がない点からも、この「初版本」は改装本らしい。いくら本の状態が良くとも、あまり高価な値はつけられないでしょう。
ちなみにクロース装をそのまま布装と訳されているのでしょうが、本屋としては多少違和感があります。
ただ、この装丁全般の描写に関しては、訳者だけの責任とも思われません。それでも原文を見れば、もう少し理解できるのでしょうか。
不思議に耐えかねて「訳者あとがき」を読んでみたところ、末尾に余談として、この初版本と「同じ装丁のものが〈AbeBooks.co.uk〉という古書専門のサイトでは約千ユーロで売られていた」と書かれていました。
早速検索しても、あるのは本当の初版本(価格は倍以上)だけ。ぜひ一度、お目にかかりたいものです。
話が始まって間もなく、セーヌ河岸の古本露店商から、主人公がアガサ・クリスティー作『雲をつかむ死』の初版本を見せてもらうところの描写です。
濃い栗色のモロッコ革装丁で、背には糸かがりによる隆起があって金文字でタイトルが記されており、見返しにはマーブル紙が使われている。ヒューゴー(主人公)の見たところ、背はオリジナルの布装丁のようだ。
一体、どんな装丁の本なのでしょう。文字通りに受け取れば、背だけが布装の革装本ということになります。しかし、糸かがりによる隆起というのは、おそらく背バンド(あるいは背ベルト)のことでしょうが、布背にそうしたものがあるのを、店主は見たことがありません。
いずれにせよオリジナルはクロース装でジャケット付き。ジャケットについて言及がない点からも、この「初版本」は改装本らしい。いくら本の状態が良くとも、あまり高価な値はつけられないでしょう。
ちなみにクロース装をそのまま布装と訳されているのでしょうが、本屋としては多少違和感があります。
ただ、この装丁全般の描写に関しては、訳者だけの責任とも思われません。それでも原文を見れば、もう少し理解できるのでしょうか。
不思議に耐えかねて「訳者あとがき」を読んでみたところ、末尾に余談として、この初版本と「同じ装丁のものが〈AbeBooks.co.uk〉という古書専門のサイトでは約千ユーロで売られていた」と書かれていました。
早速検索しても、あるのは本当の初版本(価格は倍以上)だけ。ぜひ一度、お目にかかりたいものです。
konoinfo at 19:30│Comments(0)│
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