2018年06月29日

市場のルール

RIMG2949先週もお伝えいたしましたとおり、今日は古書組合の年度末。それでも明治古典会は、いつものように開催されました。

しかしさすがに出品量は少な目。にもかかわらず、出来高は決して悪くありませんでした。とびぬけて高額の商品があったわけでもなく、つまりは1点ずつの落札価格が高めだったということ。

確かに会場を回って、いかにも明治古典会らしい市だと、店主自身も感じました。いわゆる肉筆、一点ものが多かった気がします。

たとえば挿絵原画とか、有名監督が使用した書き込み入りの映画台本とか。

その中に、人気版画家の自筆装丁画というものがありました。比較的安い価格で、若手の同業が落札しました。

ところがしばらくすると、その同業が「これは印刷だとおもうのですが」と、不安げに申告してきました。あらためて良く見れば、確かに印刷されたもののようです。

プロが揃っていて、そんなことが瞬時に分からないのかと言われそうですが、疑いをもって良く見なければ、すぐには分からない場合も多いのです。

落札した業者も、自己責任として退けられるかもしれないと恐れていたのでしょう。入札取りやめが認められ、ホッとした様子でした。

これが印刷ではなく確かに書かれたもので、ただし別人の書いたものだった、という場合には返品は認められません。ちょっと腑に落ちないかもしれませんが、それが市場のルールとなっています。

konoinfo at 22:20│Comments(0)

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