2018年07月24日

熱い読書

「とんでもない考えだ」「とんでもない!!」「1891年モスクワ出版ということをなぜ言わないのか!」

rubinこれはルービンシタイン著『音楽とその大家』(馬場二郎訳、大阪開成館、大正12年)の冒頭、「訳し終へて」と題された前文の、余白部分に書き込まれた文言です。

良い状態なら、そこそこ高い値がつけられそうな本ですが、本来ついている函がありません。綴じにゆるみが出ているうえに、耳折もあります。その上、この書き込み。商品にすることは、まず諦めたほうがよいのかもしれません。

しかし読みづらい文字ですが、判読できる部分だけを拾い読みしても、かなり面白い。文字以外に、チェックやらクエスチョンマークやらも各所に見られ、この読者の「一人ツッコミ」のさまが、本文以上に興味を引きます。

robin3例えば「ヒドイ奴」と書き込まれたのは、巻頭の「ルービンシタイン小伝」中にある「彼はまたヴァーグネル、リスト、ベルリオーヅ等に対して猛烈な反感を抱きました」という部分に反応してでしょう。

ほかにも「バカゲテイル」「クダラナイ」「コレハ正シイトハ言えない」「ココマチガイアリ」「何カオカシイ」「コレハ面白イ」「しかしコレガダメ」

ともかく全編にわたって、傍線が引かれ、行頭にも線が引かれ、マルが打たれ、バツが記され、この読者が書物と対決しているさまが、ひしひしと伝わってきます。

しかしこの方は音楽評論家ではありません。あくまで素人のご趣味。他にも同様のツッコミが入った本が何冊もありますが、これを面白がって買っていただけるお客様は、果たして、おられるでしょうか。

konoinfo at 19:30│Comments(0)

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