2018年08月10日

「進木廼舎」蔵印

来週一週間は、古書会館の夏休み。それで今日の明治古典会は、出品量が少なめでした。

KIMG0656というと、妙に思われる方もおられるかもしれません。逆ではないのかと。しかし、この時期に合わせて夏休みをとる業者も多いので、あまり嵩のある物は扱いたくないという心理も働くことでしょう。

そこで店主も、何本口かの出品を控えました。買い気が薄いのではないかと案じたのです。

その代わり、1冊の和本を出品いたしました。先日、お客様から引き取って市場に出した数十冊のなかから、それだけ別にしてとっておいた本です。

他の和本は、見識のない店主の目から見ても、さほど珍しいものではないと思われましたから、大して値にならなかったのも納得でした。

今日出品した1冊は『本朝皇胤紹運録』と題された、江戸中期頃の版本です。傷みもありますが、何より多くの書入れがあります。それも複数の筆跡による。

この書名自体は、少し調べただけで、良く知られたものであることが分かりました。しかし、表紙をめくると、大きな蔵書印があって「進木廼舎」と読めます。

ネットで調べると、森鷗外の蔵書印と出てきました。思わずドキリ。となると、この書入れの中に鷗外の手が入っているかもしれません。

ところがすぐ後に一行注意書きがあり、これには異説も唱えられているとのこと。その説を探し出して読んでみたところ、かなり説得力があります。

そこまで調べた上で、今日の市場に出してみました。結果は、鴎外旧蔵書だとすればかなり安い、そうでないとすれば、まずまずという落札価格になったのでした。

konoinfo at 22:04│Comments(0)

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