2018年08月16日

間違いの喜劇

RIMG3104「日本の古本屋」には自店在庫管理システム(ZIZAI)というものがあって、それには書籍を登録する際の入力支援アプリも備わっています。

膨大な書誌データベースを参照できる仕組みで、日本書だけでなく洋書もかなりの割合で、必要な情報を直接引用することができます。

これで登録作業が、どれほど助かっているかしれません。しかしあまり頼りすぎて、失敗をすることもあります。最近あった例。

お電話で「キョウノマチヤ」は在庫しているかと、お問い合わせがありました。「京の町屋」と変換されて、検索すると1冊ヒットしました。在庫も確認し、折り返し「ございます」とお返事。後ほど取りに来られるとのことで、帳場に用意しておきました。

やがてご来店になったお客様にお渡しすると、怪訝なお顔で「これじゃないです」とおっしゃいます。焦りました。確かヒットしたのは1点だけ。しかしお客様は「日本の古本屋」で、小店にあるとお知りになったのです。

種を明かしますと『京の町』(長沢英俊作品・文)が、お客様のお求めの本でした。幸いなことに、お尋ねの本もすぐ見つかって、無事お渡しすることができました。

小店のご用意したのは、鹿島研究所出版会のSD選書。しかし良く見るとこの本も、正しいタイトルは『京の町』です。それが小店ではなぜ『京の町』で登録されていたのでしょう。

実は間違ったデータが存在していたのです。CiNiiで検索すると、某大学図書館がこのタイトルで登録したことが分かりました。小店で入力する際に「町屋」と打って、それでヒットした書誌情報を引用したのが、今回の「間違いの喜劇」の原因でした。

悲劇にならなくてよかった。

konoinfo at 19:30│Comments(0)

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