2018年08月27日

痛み分け

某日、一人のご婦人が店に来られて、ある全集を手放したいとおっしゃいました。「全冊揃っています」とのこと。

「昔は高い本でした」と、ほとんど決まり文句のように、そう申し上げました。

実際この全集、元版が発行されたのは昭和10年代のこと。昭和50年代に復刻版が出版されるまで、なかなか高価な全集であったことは確かです。復刻版も、需要が高かったのでしょう、1度ならず出版されています。

その結果、必要なところには充分に行き渡ったと思われます。価格が落ち着きました。落ち着けば、あとは下がるだけ。この方のお持ちなのは、もちろんその復刻版です。

RIMG3136現在、いかに値崩れしているかを説明し、店主の頭にあった相場を申し上げました。驚いたような様子でお帰りになりましたので、それきりになったものだと考えておりました。

ところが後日そのご婦人が、2度に分けてその全集を持ってこられました。それまでに店主も、自身の相場感を裏付けるため、ネットで販売状況を確かめております。そして得た結論は、現実はさらにシビアだということ。

そこで、お持ち込みの全集を、申し上げたうちの最低価格で引き取らせていただきました。かなり買い叩かれたご気分だったのではないでしょうか。

ところで小店も、その全集を店に並べる余地がありませんので、市場に出してみました。損覚悟の止め札なし、つまり2千円でも売るつもりで出品したのですが、結局のところ買い手は付きませんでした。

処分するか、倉庫に塩漬けにするか。残された道は、二つに一つです。

konoinfo at 19:30│Comments(0)

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