2018年09月13日

買入広告

先日ある同業から「雑誌を見てたら、河野さんの店の広告が出ていたので驚きました」と、話しかけられました。

hiyori「ああ3号で終わったやつですね」そう答えて、しばらくそのいきさつなどをお話ししました。といっても、店主自身、もう当時の記憶はあいまいで、覚えていることも僅かです。

映画の同人誌を作るので広告を出してほしい、と頼まれたことは間違いありません。つまりその同人たちの何人かが、小店によく顔を出していたのでしょう。

現物をどこかに置いてあったはずだと探したら、見つかりました。雑誌の名は『映画日和』、創刊は1985年初頭。河野書店が開業してまだ2年と経たない頃です。

店主もまだ30代半ば。院生さんたちとなら、せいぜい10歳ほどしか年が違いません。頼む方も、頼みやすかったのだと思います。

後にも先にも、広告などと言うのはこれだけで、しかも3号で終わった少部数の雑誌です。それが古本屋の目に留まるというのですから、古書の海は侮れません。

以前も「日本の古本屋」を検索してみたら1、2冊、出品されていた記憶があります。いま見たら1冊も出ていませんでしたから、どなたかが買われたのでしょうか。

あらためて自店の広告を見直してみて、隔世の感を抱きました。なにしろ「古書買入」という大文字の間に、「一般学術書」「全集・美術書」「洋書その他」と、買い取り品目を掲げているのです。

いまなら決して、このような字句を前面には出しません。小店に限らず、多くの古本屋の志向が、いかに変化してきたかが分かろうというものです。それは同時に、市場の変化でもあるわけですが。

意外だったのは、こんなに早くから「洋書」を扱い品目に数えていたことです。洋書会にかかわりを持ったのは、もう少し後のはずですから、おそらくまだ手探りの時代。

もしその頃の自分にあえるなら、どんな忠告がしてやれるでしょうか。

konoinfo at 19:30│Comments(0)

コメントする

このブログにコメントするにはログインが必要です。

12月31日から1月3日まで
休業いたします
Profile

河野書店

Archives