2019年03月25日

解説から読む

定説、通説とされていることに真っ向から挑み、驚くべき真相を明らかにする――というのは、一つ間違えばトンデモ本の仲間に括られてしまいそうです。

おそらく以前に単行本版を入荷した時、店主はそのタイトル(副題:贋作に隠された自殺の真相)からそんな感じを受けて、良く確かめもせず、ただ棚に挿しておいたのだろうと思います。

gogh今回『完全版 ゴッホの遺言』を手にした時、最初はそのことすら忘れておりました。初めて見る本だと思い、ゴッホを語る以上は、木下先輩の著作が挙げられていなければと、何の気なしに参考文献に目を通したのです。

すると3つの書名が挙がっていたばかりか、続く「解説」に「木下長宏」の名があるではありませんか。驚いてまず、それを読みました。そして、先輩に薦められるような恰好で、冒頭から読み始めました。

なにしろ2000年の「日本推理作家協会賞」を受賞した作品だということです。謎解きの面白さに、つい引き込まれて、店主にしては記録的な短時日で読み終えました。

そしてもう一度解説を読み、的確に内容を紹介しながら、ネタばらしになっていないことに、改めて感心するとともに、この本が「一つの美術研究の報告書」として「美術史研究賞」にこそ相応しいという先輩の意見に、強く同感しました。

ところで本の内容とは関係ありませんが、とても気になったことがあります。文中に頻繁に引用される『ファン・ゴッホ書簡全集』で、テオがゴッホに宛てた手紙に「きみ」という二人称が、訳語として用いられていることです。

あの浩瀚な書簡全集に目を通したことはありませんが、そのあたりの訳者弁明は掲載されているのでしょうか。途中から頭の中で「兄さん」と置き換えて読むようにして、座りが良くなりました。

konoinfo at 19:30│Comments(0)

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