2019年04月15日

間尺に合わない

「預けてあった本、どうなりました?」と、お客様が来られました。

RIMG3539お名前をうかがって、お預かり台帳を繰ります。すると、3週間ばかり前の日付で、確かにそのお名前が見つかりました。数量19冊と記されています。

しかし肝心の評価金額が書き込まれていません。焦りました。そもそも、どんな本をお預かりしたのか、まるで思い出せないのです。お客様にお尋ねしても、お客様もよく覚えていらっしゃらないご様子。

昨日食べた夕飯さえ、思い出すのに苦労する店主です。3週間前の19冊について、手掛かりなしで記憶を手繰り寄せるのは至難の業。

そのうちお客様が「あ、これ!」と、立てかけてあった大判の画集を指さされました。集英社「現代世界の美術」のうち『シャガール』と『クリムト』の2冊。

その2冊なら何となく記憶があります。ほとんど売り物にできない大判書籍がひと塊あって、すべて処分しようとしたときに、家人が「これだけ売ってみよう」と言って残した本です。

なぜその時、それらが未清算のお預かり本であることに気づかなかったのでしょう。

しかし今となっては、手元にはその2冊しかありません。やむなく2冊の売値となるはずの1000円をお支払いし、ご勘弁いただきました。自らまいた種とはいえ、何とも間尺に合わない商売です。

おそらくお客様にしても、なんとなく間尺に合わない気分をお持ちになったはず。それを思うと、さらに間尺が合わなくなってきます。

konoinfo at 19:30│Comments(0)

コメントする

このブログにコメントするにはログインが必要です。

12月31日から1月3日まで
休業いたします
Profile

河野書店

Archives