2019年07月19日

真筆の証明

知り合いの若い古道具屋さんから大きな二曲屏風を預かって、今日の明治古典会に出品しました。火曜日の夜、閉店間際に突然持ち込まれたものです。

道具屋さんもお客様から預かったものらしく、指し値(希望価格)があるとのことでしたが、聞いてみると無理な値段ではありません。翌日はちょうど組合ルート便の配達日でしたから、急きょお願いして、コショタンで組合に運んでもらったのです。

カーゴ1台分の料金だと言われましたが、運送屋さんに頼める大きさではありません。まして小店の車には積むこともできませんから、高いとは思いません。

その屏風ですが、開くと二面に十数枚の色紙が貼り込んでありました。正確には画帖を切り取ったもののようでしたが。それぞれの紙には名を知られた昭和の作家、評論家の署名、識語。簡単な絵が描かれたものも。

中の一人の識語から、昭和33年に書かれたものと分かりました。しかし当時、ないしバブル期までならともかく、現在確かな値が付くのは十数名のうち、三島由紀夫ひとり。しかもその三島は一番下隅に貼られいてたため、水でもかかったようなシミがありました。

それでも全体を見て、その持ち主がどのような方だったかを伺うと、自筆ものの最も肝心な点である、真贋の面では問題がなさそうです。

問題は屏風のままでは、買い手を見つけることが難しいこと。かと言って、切り取って紙片に戻すと、真筆を証明しづらくなること。

RIMG3731入札した業者は、一様にそのジレンマを感じたことでしょう。結果、落札価格は指し値の約二倍にとどまりました。三島の色紙一枚でも、その何倍もの値で売られているのですが。

つまりは、証明力に掛かっているということです。

konoinfo at 21:57│Comments(0)

コメントする

このブログにコメントするにはログインが必要です。

12月31日から1月3日まで
休業いたします
Profile

河野書店

Archives