2019年08月16日

意趣返し

今年の明治古典会七夕大入札会に、ある画家の遺稿、遺品関係をまとめて出品いたしました。大正期に早世したその画家の、仲間の一人だった方のご遺族Sさんから、お預かりしたものです。

絵画作品であれば、美術オークションで高額な値の付くであろう著名画家ですが、そうしたものは早い時点で美術館などに収まっています。今回は遺された資料類で、Sさんが義父から受け継ぎ、大切に保管してこられたものでした。

RIMG3901それを手放す気になられたのは、Sさんご自身がご高齢となり、あとに託すお身内もいないためです。

他の本をお引き取りに伺った時、「こんなものがあるのですが、どこか引き取ってくれるところがあるでしょうか?」と言ってお見せいただいたのがその資料。

ゆかりのある美術館などが欲しがりそうな気がしたのですが、Sさんによれば以前、他にもあった遺品類をご主人が某美術館に寄贈した際、随分粗略な扱いを受け、以来不信感を抱いておられるとか。

そこで店主は七夕大入札会への出品をお勧めし、ご承諾いただいたのでした。
 
結果は、店主の予想もしていなかったような落札価格となりました。喜んでご報告したのですが、Sさんは「そうですか」とあっさりしたものです。

もともと金額にはあまりこだわっておられず、ともかく整理をつけたいというお気持ちが強かったからでしょう。

それでも落札された資料がどうやら、かつて粗略な扱いをした当の美術館に納められそうだという話をお伝えしたところ、「それは良かった」と、ようやく晴れ晴れとした声を上げられました。

仇を取ったような気分になられたのかもしれません。

konoinfo at 19:30│Comments(0)

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