2019年10月07日

よくあるお話

venice本当に古本が好きな方だったんだなあと、今さらのように思います。

先に明治古典会で手に入れた美術洋書の口を整理していたら、再び小店の札紙が、本に挟まって見つかりました。城南展に参加していた頃の古い帯紙です。

「第35回ヴェニス・ビエンナーレ カタログ」と、店主の仮名釘流はあらためて見るのも恥ずかしい限り。その札紙の上端に「62年」と数字が書き込まれていました。

一冊一冊、どこで、いつ、いくらで買ったかが分かるように、札紙があるものはそれを残し、ないものにはご自身で書入れを、見返しの隅などにされています。

これが昭和62年だとすると、開業してまだ5年目。城南展にも、参加して間がない頃だったはずです。この本については、ほとんど記憶が残っておりませんが、当時のことが色々と懐かしく思い出されました。

この元美術雑誌編集長。当時は某美術館にお勤めだったはずの方は、その頃でも業者間で名を知られた方でした。城南展ばかりか、他の即売展にもご常連として毎回顔を出されていたのです。

そんなわけですから、懇意の古本屋も一軒や二軒ではなかったでしょう。事実、店主も知るY書店さんは、ご存命中に2度ばかり蔵書整理を頼まれたそうです。もうずいぶん前のことだったようですが。

今回、厖大な蔵書が市場に持ち込まれた時、それがその方のものだと気がついた同業は、初めのうち多くありませんでした。

持ち込んだ当の業者さんは、生前その方と、まるで面識がなかったといいます。「そんな知られた方の本が、どうしてウチに来たのでしょう」

しかしこれは、よくある話なのです。

konoinfo at 19:30│Comments(0)

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河野書店

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