2019年12月02日
中華「井上」閉店

どちらも手ぶら。どうも本を探しに来られたという雰囲気ではありません。所在なげにあちらを見たり、こちらを見たり。そのうち男性が——
「そこの『苗場』は、夕方5時からですかねえ?」とご質問になりました。
「さあ存じませんね、しばらく行ってませんし」そうお答えすると、黙ってスマホを取り出して操作し始めました。女性の方は変わらず棚を眺めていらっしゃいます。
スマホの操作を終えると男性も、あてどなく棚に向かわれました。どうやら店が開くまで、時間をつぶそうという気になられたらしい。あと約15分ほど。
やがて午後5時となり、どこから見つけ出したのか、女性が古い「別冊スクリーン」を持って帳場に来られました。「ヤブレ、ヤケあり」と書かれた300円の伝票が挟まっておりましたので、その金額でお売りしました。これから「苗場」にむかわれるのでしょう。
「苗場」というのは、昔の小店の真裏に当たる場所にある小さな中華料理店。しかし今や、駒場東大前駅周辺で中華を食べさせる店は、ここだけになってしまったようです。
東口から降りたところにあった「井上」が、先月一杯で閉店されたと聞きました。あの辺りにはかつて、少なくとも3軒は中華の店があったはず。食べ物屋さんにとっても駒場は、生き残りの厳しい場所だということでしょうか。
konoinfo at 19:30│Comments(0)│
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