2020年02月02日

還暦記念論文集

百科事典、文学全集、大判画集——こうした本は、古本屋が引き取りたがらないことを、近頃ではどなたもご承知のようです。

個人全集や展覧会カタログ、映画パンフレットといった類も、値になるものはごく一部です。普通の方がお持ちのもの(変な言い方ですが)は、まず期待できません。

要するに需給バランスの問題と言ってしまえばそれまでですが、古本屋にとっても不思議に思える値下がり品も、いくつかあります。

そのひとつが記念論文集。かつて『何某先生還暦記念論文集』などというタイトルの本は、それぞれの専門店で、然るべき棚を与えられて並んでいたものでした。

もちろん昔から、値にならない論文集もあったのですが、1冊何万円という本も少なからずあって、セドリ屋の目の付け所にもなっていたのです。

RIMG4103以前はほとんどが非売本で、発行部数も確かに少なかったのでしょう。それにしても当時は、なぜそのような値がつけられたのか、いまとなってはむしろそのことの方が不思議です。

最近では、初めから定価がついて、市販されるものが多くなっているようです。だからといって、昔よりそれほど発行部数が多くなっているとは思われません。それでも古書価がつくケースは稀になりました。かつて高かったものまで、大きく値崩れしている有様です。

今では「論文集」というだけで敬遠する本屋も多いでしょう。なぜそうなってしまったのか、考えていくと、その根は深く広い気配があります。

konoinfo at 18:30│Comments(0)

コメントする

このブログにコメントするにはログインが必要です。

12月31日から1月3日まで
休業いたします
Profile

河野書店

Archives