2020年03月25日

御苦労様

池田弥三郎というお名前には、懐かしいものを感じます。もちろん面識などありません。店主の子供時分、TVなどで良くお顔を拝見していたというだけのこと。

Wikipediaには慶應義塾大学文学部教授時代、1957年 - 1963年にかけて、NHKのクイズバラエティ番組「私だけが知っている」などに出演し、タレント教授の走りとしても知られた。とあります。

国文学者であるという以上に、生粋の江戸っ子として知られ、それだけに、言葉遣いについて書かれたり、発言されたりすることが多かったのを記憶しています。

その池田さんの『露地に横丁に曲り角』(新人物往来社、昭50)が、roji先日の宅買いでお引き取りしてきた中にありました。新聞に連載されたコラム記事だとかで、短い文章が集められたものです。

頁を繰っていくと、「別れのことば」という章で「御苦労様」について書かれていました。

軍隊では「御苦労様」であった。指揮者が「別れ」というと兵たちはいっせいに挙手の礼をしながら、「御苦労様でした」といった。長い練習が終わって講評があって、そうして解散という時もそういったし、点呼のあとで、内務斑の上等兵に調教されて、ひっぱたかれた後でも「別れ」となれば「御苦労様」であった。「たくあん切るのも国のため」なら、「ぶんなぐられても御苦労様」であった。

目上から目下には「御苦労」であり、明治天皇は「苦労」と言ったらしい、という話が続くのですが、目下が目上に「御苦労様」というのが失礼に当たるとは、どこにも書いておられません。

あの言葉にうるさい池田さんが気にされなかった以上、店主も気にしないことにしようと思います。マナーなどを教える輩の、賢しらではないかという気がしてきました。

konoinfo at 19:30│Comments(0)

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