2020年09月19日

話を聞きたかった

個人的に存じ上げていたわけではないのですが、敬意と親しみを込めて、植草甚一さんと呼ばせていただきます。

その植草さんは、蔵書票や叢書印の代わりに、手書きで簡単なイラストと購入メモなどを書き込まれていた、ということは良く知られています。

厖大な蔵書の、全冊に書き込まれたわけではないにせよ、決して珍しいものでないことは確かですが、今では本自体よりも、そちらに値打ちがあるようです。

というより元々、高価な本にご興味がなく、目につく面白そうな本を、手当たり次第に買われる方だったと伺っていますから、サインがなければ、ほとんどが均一本として処理されるようなものであるのも、むべなるかなです。

77166b蔵書が処分された際のエピソードも、いくつか業界に伝わっていますが、それはまた別の時に。今日は小店に残っていた一冊に書き込まれた情報についてです。

購入した日時と店が書かれているのですが、その店名が不思議です。Rooks and Becordsとあります。

植草さんが書き損じたはずはありません、きっとその名の店があるはずだとWebで検索してみると、果たして "Rooks and Becords" (new and used books and records store) was on the corner where the "California Tobacco Company" is located today.というFaceBookの記事が見つかりました。

他にあまり店に言及した情報はなく、本好きの昔話といったものばかりでしたが、やがて一つ興味深い記事を発見。まさにLos Angeles Timesに掲載された新聞記事です。

ざっと飛ばし読みすると本の万引きに関する記事で、それ自体面白いのですが、なかに当のRooks and Becordsが常習故買で免許を取り消されたと書かれていました。1992年のことですから、植草さんはご存じありません。もしご存命だったら、それを知ってどんなことを言われたか、聞いてみたかったですね。

konoinfo at 18:30│Comments(0)

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