2020年10月15日

今では稀本

masaccio古い在庫をひっくり返していたら、こんな本が出てきました。

少しばかり頁を開いたりして眺めているうち、妙なことに気がつきました。カバー写真からも、ずっと美術関連書だとばかり思っていたのですが、どうやら違いそうです。

Masaccioといえば誰もが、ルネサンス期のイタリア人画家を思い起こすことでしょう。店主も写真だけを見て、とくに疑いもせずそう思い込み、イタリア語はどうせ読めませんから適当な値をつけて即売展に出品し、それが売れ残っていたもののようです。

ずいぶん昔、ネットが普及する以前のことです。

今は世界中の本を検索できるサイトもあり、この本の値打ちを知ることも容易になりました。画家の研究書とすれば大部なものでもありますし、興味を覚えて調べてみることにしたのです。

その過程で、どうも変だと思いました。真ん中あたりに図版頁があるのですが、見受けられるのは美術書にはそぐわない写真ばかりです。

Googleで色々調べてみて、ようやくこの名前が、第二次大戦期イタリアの一地方で抵抗運動を率いた人物の、自ら名乗ったニックネームだったことが分かりました。

そう思ってタイトルを読み返せば、確かにその通り。ではその値打ちのほどは?BookFinderで1冊だけ出てきて約1万3千円でした。WorldCatで調べると、書籍として所蔵している図書館は1館のみ。しかし電子ファイルで17館が所蔵しているそうです。

1965年10月に出版されたこの本、その12月には第2刷が出ていて本書はそれ。決して売れなかった本ではなかったようですが、今や入手困難というわけです。

それにしてもどんな人が、これを持っていたのか。関心はいつもそこに向かいます。

konoinfo at 18:30│Comments(0)

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河野書店

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