2021年01月19日

専門書の凋落

洋書会へ行くと、先週とは違い、ひと口ものらしい本が会場の半分ほどを埋めていました。

今日は、ほとんどその口だけでしたが、それでもカーゴ6台という、今年一番の出品量。ただし大きな山にまとめられていましたので、点数はそれほど多くはありません。

店主にとってショックだったのは、それがフランス古典演劇の研究書を中心とする口だったことです。

もし25年前に、この出品に遭遇したら、大興奮して買い占めに走ったことでしょう。もちろん可能だったとは思いませんが。

それほどにも、自分が集めようとしてきた本が揃っていました。実際に店主自身が外国に注文して手に入れたのと同じ本も、何冊となく見受けられました。

当時なら、なによりもまず、そのような本を宅買いするという僥倖を得た書店に対し、妬みにも似た羨望をいだいたに違いありません。
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しかし今日、店主が感じたことは、それとは真逆の思いです。かりに小店にご用命があったとしたら、大いに困ったに違いありません。

四半世紀を経て、これらの本が滅多に需要のないことを知っていたからです。

これほどの大口でなくとも、長年の間に市場で折々に仕入れた演劇関係洋書は、売れる見込みもないまま、ほとんどが塩漬けとなっています。

結局、一点ずつの山が大きいこともあって、入札をあきらめました。市が終わり、その出来高を知った時、もう一度ショックを受けました。小店の塩漬け在庫の価値を、思い知らされたからです。

※ちなみに25年前というのは、今日の蔵書の持ち主が逝去された年です。

konoinfo at 18:35│Comments(0)

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