2021年02月18日

署名と記名

「日本の古本屋」から古い在庫に注文が入りました。

やれ嬉しや。ご注文者のお名前を見ると、何度かお買い上げいただいているお客様です。そこでふと気になることがありました。

店主の記憶では、この方は主に署名本をお集めになっておられます。今回ご注文いただいた本は坪内逍遥の著書。はて、当店に逍遥の署名本などがあっただろうか。

明治44年刊となっていますから、存命中の出版物ではあります。あらためて出品書の解説文を確かめてみました。

すると「表紙スレ、折れ、背クスミ三方クスミ 見返しに印、署名 鉛筆・赤鉛筆あり」、状態の良くない本であることを書き連ねている中に、まぎれもなく「署名」の2文字が入っています。

店主自身半信半疑で在庫の保管場所を探し、ほどなく本は見つかりました。しかし開いてみても、署名らしきものは見当たりません。

すぐ訳が分かりました。前見返しに旧蔵者の印が押されていて、後見返しに横文字筆記体で、同じ名前がペン書きされています。つまり所有者の記名本というわけでした。

前にも一度、同じようなケースで注文が入ったことがありました。当時いたアルバイトさんが、記名と署名の違いをわきまえずにデータ登録していたようです。

あるいはその時も、今回と同じ方からのご注文だったかもしれません。いずれにせよ、それ以降、入力者には予め注意していますから、もう間違いはないはずでした。

KIMG1703しかし古いデータが残っていることまでは、思い及びませんでした。お客様にはお詫びの訂正メールをお送りしましたので、やがてキャンセルのお知らせが届くはずです。

konoinfo at 18:30│Comments(0)

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