2022年09月24日

赤革のノート

昨日の明治古典会で、最終台に、一冊の赤い革装本が載っておりました。

開いてみると印刷物ではなく、横罫の入ったノートが綴じられたもの。表題ページに当たるところにはゴシック調の飾り文字で、Autographと手書きされていました。

DSC_1115出品封筒には「新島襄ほかサイン帳」と書かれています。ノートの各ページには筆記体で書きつけられた人名と簡単な住所。

しかし前半4分の1にも至らぬうちに白紙となり、また中央あたりから書き出されていて、それもすぐに途切れていたと思います。

その後半部分冒頭に、3人の日本人がサインを残しておりました。徳川篤敬、金子堅太郎、そして新島襄です。新島のところには、小さな名刺も貼り付けられていました。

このようなものに偽物は考えられませんから、それぞれまぎれもない自筆でしょう。

フリ用の商品でしたから、果たしてどんな値が付くのか、興味深々で競りにかけられるのを待ちました。

やがて登場。4万円のハナ声から始まって、その何倍かまで競り上がりました。しかし結果は「引き」。つまり出品者はそれ以上の金額を期待していたわけです。

この手の史料は、相場があってないようなもの。どこに価値を見出すかによっても変わってきます。サイン帳自体がどのような由来を持つのかはっきりすれば、売り先も見つけやすいかもしれません。

しかし誰がどこで手に入れたものでしょう。そして、いくらなら手放す気だったのでしょう。そちらも詮索してみたくなります。

konoinfo at 17:08│Comments(0)

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