2024年12月07日

指折り数える

いつもの年以上に、やり残していることが多い気がしてなりません。もう12月、と驚いたばかりなのに、今日は早くも7日。やるべきことを何一つしないうちにです。

たとえば年末年始のお休み告知。つい先日お客様から尋ねられ、そう言えば、店に貼り紙もしていないことに気づいたのでした。
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すると以心伝心。何を話したわけでもなかったのに今朝、家人が色画用紙に手書きで休業期間を書いて、自動ドアの内側に貼り出してくれました。

店主も今日「日本の古本屋」の管理画面から、「お知らせ」欄に書き込みました。「年内は12月30日(月)まで 新年は1月4日(土)から営業いたします」と。

じつはこのブログには、左肩に1年中、同じメッセージが表示されています。お気づきでしたでしょうか。「12月31日から1月3日まで休業いたします」。この何年も、同じスケジュールというわけです。

次にやらねばならないことは、名古屋行き帰りの新幹線切符手配。とりわけ年明け帰京の切符は、早めに手配しておきたい。すでに予約可能なはずですから、これを書き終えたらすぐにも取ろうと思います。

まだあります。20人近くの友人、知人にカレンダーを送ること。年賀状代わりでもありますから、それぞれに文面を添えるため、案外時間がかかります。

そして年賀状。先日も書いたとおり、今年はともかく、この先どうするか。今はまず、ここ数年にいただいた年賀状を見返して、この先も送るべきところを選び出してみようと思っています。

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2024年12月06日

熱のあるジャンル

DSC_3007明治古典会12月の市は、今日を含めて3回。店主が会場に着いて見て回った限りでは、特別に目立つ一口物があるわけでもなく、少し出品量が多めの通常市としが見えませんでした。

しかし最終台の開札が終わり、すべての発声が済んだあと、いくらか上気したような石神井書林さんの顔を見て、今日が文学書を専門とする古書店さんたちにとっては、かなり特別な市であったことを知ったのです。

最終発声で1冊の小さな詩集を落札した石神井さんは、それが夭逝した詩人の第一詩集で、自身がこれまで目にしたいと思いながら、現物に出会えなかった2冊のうちの1冊なのだと教えてくれました。

店主に分かったのは、その献呈先として記されていた、同じく夭折した詩人の名くらいのもの。

石神井さんの言葉が振るっています。「いざこの本を見た時、弱気にならないよう、日ごろから入札する値段を決めていた」

その意気込みが奏功して、見事一番下札で落札。一番上札はその数倍で、まさに「やらずの札」でしたが、ご本人は落とせたその本より、買い逃した他の本が悔しくてたまらない様子でした。

というのも、今日出品されていた一連の詩書、詩誌は、かつて明治古典会の会員でもあった、伝説の詩集専門店、麥書房さんの旧蔵本と判明していたからです。

いまもこんなに熱くなれるジャンルがあるということに、縁なき衆生としては、ただただ感心するばかり。

店主はといえば、大山に欲しい本を1点見つけ、札を入れたのですが、僅かの差で届かず、何の成果もなしに終わっております。

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2024年12月05日

思想と時代

一昨日の東京洋書会で3点落札したうちの、1点は日本書の口で、「アントニオ・グラムシ&イタリア共産党関係5本口一括」と封筒に書かれていたもの。

そのとおり、100冊を超えるタイトルのほとんどに「グラムシ」の文字が入っておりました。

ついふらふらと店主は札を入れたのですが、落札できるとは思っていませんでしたから、いざ開札となって、ほかに1枚の札も入っていなかったことを知り、いささか意外の念に打たれたのでした。

おかげで1番下札で手に入れることができ、売値をつけるのがずいぶん楽になりました。

いざ値付けを始めてみると、確かにさほど高く売れる本はありませんが、こなれた値段にして、ある程度売れれば十分利益を出すことはできそうです。問題は、果たして「ある程度売れる」かどうかですが。

考えてみれば、これに札が入らなかったのは、ネットで売るには単価が低すぎて効率が悪いし、といって今どきの流行りでもないから店売りに向かない、と考えられたのかもしれません。

哲学思想系は、結構需要があるのですが、売れ筋は案外限られています。しかし、この思想家も一時期大いに出版され、読まれたことは、今回手に入れた本の多さでも明らかでしょう。

DSC_30081冊ずつ点検して気がついたのは、古書で入手したと思われるものが少なからずあり、それらの大部分は早稲田の本屋さん、もしくはビッグボックスで購入されていたということです。

即売展を効率的に運営するために、共通の規格で作られた値札ラベル。それを貼る場所まで厳格に決められていました。本に残されたその半券に「寅書房」の名を見た時、あの時代が懐かしく思い起こされたのでした。

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2024年12月04日

年賀状の悩み

12月の声を聞き、いま頭を悩ませていることがあります。年賀状をどうしようか——ということ。

DSC_3010いよいよ購入しようという段になって、あらためて1通85円という料金に、大きな抵抗を感じるのです。

葉書1枚がこの値段になるまでの推移を、ネットで検索してみました。

店主が生まれた翌年(昭和26年)に1枚5円となった葉書(ただし年賀はがきは4円)は、高校生時代の昭和41年に7円。社会人となった昭和47年に10円。会社勤めを辞めて東京に来た昭和51年には20円

五十嵐書店で修業中の昭和56年には30円、40円と短期間で2度の値上がり。独立開業して6年目には元号が平成に変わり、この年、消費税導入で1枚41円に。次に上がるのは平成6年で50円

このあと50円時代が20年続きます。平成26年に消費税がついて52円。その後に62円、63円と小刻みな改定があったのは、まだ記憶に新しいところ。

しかし葉書なるもの、年賀状以外にはほとんど利用しないため、封書ほどには差額切手などで悩まされることがなかったのが、せめてもの幸いでした。

それでもこの値上げ。振り返れば過去にはもっと大幅な上昇もあったわけですが、今回は、これまで以上に懐に響く気がして、あらためて小店にとっての、年賀状の意義を問い直すまでになりました。

とりあえず今度の年賀状は出すとして、昨年やめたクロスワードを復活させるか、所感報告とするかが、まず悩ましい問題。さらには「本年限り」のメッセージでも入れようかなどと、とつおいつしている状態です。

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2024年12月03日

本日の成果

12月最初の洋書会。助っ人要請もなく、自身の出品もなかったので、久しぶりにゆっくり、昼前に店を出て会館に向かいました。

今日のメインは、前回から続いている英国世紀末文学関係の一口。カーゴ4台が仕分けられて、会場の半分ほどに並べられており、いかにも洋書会らしい雰囲気。

ほかに会員仲間がカーゴ1台の日本書を、自ら仕分けて出品していましたが、これがなかなか売れ筋揃いの良い口。実際にたくさんの札が入り、高値を呼んでいました。

しかし実は今日一番の話題となったのは、前週、仕分けが間に合わず、今回の出品とさせてもらった革装本が中心のカーゴ1台。

上の方には一見したところ、ただ革装というだけに過ぎない本が積まれていたのですが、カーゴから降ろしてみたところ、ラッカムなどの挿絵本が並装、特装合わせて20冊近く現れたのだそうです。

結局それらの落札価格で、本日の出来高の半分以上を占めることになりました。荷主さんにとっても、最高の結果となったと思います。

ところで店主が今日、入札したのは、そうしたメインストリームから外れた3点。比較的新しい英米文学関係書と、英語による現代思想関係書。それから「グラムシ関係一括」とされたイタリア現代思想の、こちらは日本書。

DSC_3001 (1)洋書の2点はエアポケットのように競合が少なく、どちらも下札で落札できたのですが、日本書に至っては他に誰の入札もなく、3枚札の一番下札で落ちてきました。

こういうとき、不安になったりすることもあるのですが、今日の成果については、ただ有り難いばかりです。

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2024年12月02日

ブログで本を売る?

店内を一回りされたあと「Amharic Dictionary がこちらにあると、ネットに出ていたのですが?」と、中年の男性が帳場に来られてお尋ねになりました。

「そういう本はまず店頭に並べていませんから、最初からお尋ねになった方がいいですよ」と申し上げておいて、在庫場所を調べ、裏の移動棚から取り出してきてお目にかけました。

さらに「出来れば事前にご連絡いただいた方が、よりありがたいです。今日のようにすぐ見つかるとは限りませんから」とダメ押しをすると、お客様は苦笑いされ「ちょうどこちらに来る用事があったものですから」。そうおっしゃってお買い上げ。

DSC_3002もちろん店主は、十分柔らかく申しあげたつもりですし、お客様も気分を害されたようには見受けられませんでした。

その証拠に、それから数日後、裏で仕事をしていると、店番をしていた家人に「しばらく前のブログに写っていた、ジョージア語の本はまだありますか?」とお尋ねの声。店主が顔を出してみると、先日のお客様だったのです。

7月何日かという手掛かりにしたがって、家人がブログを調べていくと、見つかりました。ジョージア叙事詩『豹皮の騎士』として、画像とともに紹介しています。しかしこれは先月半ば、店主が店番をしていた時、若い男性がお買いになられました。ご当人は、お読みになれるわけではないようでしたが。

「いやいや、売れたならいいんです」と幾らか残念そうなお客様。ちなみにこの本は「日本の古本屋」には上げておりませんでした。

たまにそんなことがあったからと言って、ブログで本を売ろうなどと思ったわけではありません。

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2024年12月01日

間違い続き

われながら、真剣にボケを疑いたくなるような失敗が続きました。

性懲りもなく繰り返す送り先ラベルの貼り違えを、最近またやらかし、ようやくその収拾がついてほっとした日のことです。

いただいた即決(単品スピード決済)注文の1つに、時間を置かずキャンセルのご要望が入りました。ただちに管理画面からキャンセル手続きをして、その旨をお客様にお知らせ。これで終わったはずでした。

DSC_2998しかしそのあと、他の注文品処理を進めているうちに、間違って別のご注文をキャンセルしていたことに気がついたのです。

誤ってキャンセルとしてしまった方には、急いでメールを入れ、再度クレジット決済をお願いすることで事なきを得ました。

ところがその日の集荷が来たあとに、同じ出版社の似通った仏文研究書のご注文が入っているのを見つけ、それが今発送したばかりの、同じお客様からのご注文のように、店主の目に映ったのでした。

そこで、早く気づけば同梱して送料が節約できたはずなのに、と思いながら、お詫びの意味を込めてカレンダーを同封し、翌日に発送したのです。

誤りが判明したのはその夜。午後に集荷されていったその本が、別の方からのご注文品として、管理画面に未処理で残っていることに気づきました。今度は、間違って送ってしまったその方に、到着品を「受取拒絶」としていただきたい旨、お願いしなければなりませんでした。

1度ならず2度までもご迷惑をおかけしたわけで、お詫びのしようもないのですが、あらためてカレンダーをお送りしております。

実際にご注文いただいた方にも、発送が3日ほど遅くなったことで、ご迷惑をおかけしてしまったのですが。

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2024年11月30日

宅買日和

DSC_2999しばらく前、店主の留守中に、お電話で宅買いのご相談をいただきました。ちょうど一年ほど前にお引き取りに伺った、建築事務所で修業をされたという、やはり建築家の方からです。

「同じような本がある」とのこと。「今夜にもメールで画像を送ります」と言って電話を切られたそうでした。

期待して待っていたメールが届いたのは数日経ってから。添付ファイルを開くと、確かに建築関係の本が目につきます。他にも思想関係など、店で並べられそうな本ばかり。ただし数は、さほどありません。それでも中に1冊、良い値がつけられる本が写っています。

そこで、まず今回のご処分が、画像に写っている以外にあるのか、お引き取りに伺う場所はどちらかという2点をお尋ねしました。

返ってきた答えは、写っているもので全て。場所は小店から車で約30分のご自宅。

ということで今朝、その引き取りに行ってまいりました。量も所要時間も想定通り。往復1時間とちょっとで、持ち帰ったのは100冊ほど。

しかし正直なところ、少々気落ちしております。画像で確かめた万単位の評価がつけられるはずの本が、実際に現物を手にすると、かなり問題のある状態だったのです。

まず、あるべき函がない(これは画像からある程度覚悟していました)。天に個人名の横印が押されている。そして極めつけは、一部の人から忌み嫌われている虫の糞が、表紙の表裏に点々と痕跡を残している。

じつは他の本も、天に個人名のゴム印が押されているものが殆ど。しかしこちらは、安く売れば喜んでいただけると思い、ともあれお引き取りしてきたのでした。

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2024年11月29日

5人組忘年会

久しぶりの5人組夜の会食。しかも忘年会と銘打って。

今日の明治古典会は11月最終週で、特選フリ併用市。これが終わればあと3回しか、今年の明古はありません。最終市となる20日はクリスマス特選市。そう考えると、今日を忘年会としたのは賢明な決定だったと思います。

DSC_2996このところお決まりの席となった「手打蕎麦たかせ」で、今回は特に昔ばなしに花が咲いております。そのきっかけとなったのは、ひとりが持っていたタブレットで、古い写真を次々と見せてくれたこと。

その中に一枚、写っているのはすべてよく知る人たちなのに、その組み合わせが意外で、いつどんな時に撮った写真か、どうしても判然としないものがあり、ことさら話題となりました。

思えば5人組も、それぞれの立場でこの業界に関わるようになってから、もう40年以上になる者ばかり。業界の思い出話となれば、尽きることはありません。

というより、そうした話ができる相手が、次第に少なくなってきたということでしょう。無理せずお互いの都合のつく範囲で、この集まりを続けて行きたいものです。

さて本日の明古に、店主は知り合いの道具屋さんから預かった和本、漢籍類を出品しました。

店主がざっと見た限りでは、あまり期待できない感じでしたが、終わってみたらほぼ予測通り。ただし1点だけ結構な値がついたものがあり、無駄骨折りになることだけは免れました。

古いものなら何でも値がつくわけではないという、当たり前のことを再確認した次第です。

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2024年11月28日

お役に立たず

数日前、お昼時、店の電話が鳴りました。受話器を取ると女性の声。

「突然お電話で申し訳ないのですが、そちらでドイツ語の本は扱ってらっしゃいますか?」

「扱うというのは?」「店に置いていらっしゃるかということです」「どんな本をお探しでしょう」「病人が読みたがっていて、ドイツ語の推理読み物のようなものを」

残念ながら、小店には現在その手の本はないとお答えすると、どこに行けばあるだろうかと重ねてのお尋ね。

まず古書店で、ドイツ語書籍を置いている店はごく限られます。それらの店にあるのは多くの場合、研究書か、せいぜい文学作品。

DSC_2995小店でも過去に何度か、読み物系のドイツ語書籍が入ったことはあります。しかしそれはたまたまのことで、そんな場合は大概、店先の均一棚に並べるのですが、いつの間にやら売れております。

ごく最近、ドイツ人のご主人が読まれたという英語の推理小説をお引き取りしましたが、その中に数冊ドイツ語が混じっておりました。ただそれも表に出すと、すぐ売れてしまったようです。いずれにせよ古本屋でドイツ語の推理小説を探すのは、偶然に頼るしかありません。

それなら新刊でも手に入るところはあるかと、さらに問われましたが、すぐに思いつく店はなく、「お役に立ちませんで」と、電話を終えざるを得ませんでした。

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12月31日から1月3日まで
休業いたします
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